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プロのための養豚アカデミー
Pig School for Professionals
ヘッドライン・ニュース


母豚はなぜいつ死ぬのか
母豚の死亡率が増えています。米国中西部養豚地帯アイオワ州の2つの大型生産農場からの230頭の死亡母豚の病理解剖結果です。死亡のほとんどは分娩前後、特に産後1週間に発生しています。 全死亡数の約35~40%は子宮内での死亡子豚の停滞(遺残)。高齢の母豚で多発 急性胃潰瘍や穿孔性胃潰瘍、剖検された母豚の81%に何らかの胃潰瘍が認められた 心循環系不全 脾臓または腸の問題(捻転など) また季節的な傾向も明らかになりました。 子宮での死亡子豚遺残は寒い時期に多い 胃潰瘍は夏季、7月から9月に多い。若雌豚は、導入馴致期に胃潰瘍を起こしやすい 心循環系不全は暑い時期に多い アイオワ州立大学Chris Rademacher獣医師は、分娩管理、とくに適切な子宮収縮ホルモン剤オキシトシンの使用、飼料の一貫性、そして分娩舎での暑熱ストレスの緩和が大切としています。詳しくは繁殖ページの 繁殖2タブ で。


群閉鎖で生ワクか血清か
群閉鎖法では全頭への暴露が大切です。PRRS暴露法には弱毒生ワクチン(MLV:生ワクチン)を使う方法と農場で発症した離乳豚からの血清を使う方法があります。 ミネソタ大学は繁殖群におけるPRRSウイルス排除への群閉鎖法での2つの暴露法(血清と生ワクチン)を61農場の参加で比較しました。 比較結果は: PRRS安定化成功率は血清法農場が高かった(血清法85% vs 生ワクチン法60%) PRRS安定化に達する時間は、血清法農場が早かった(血清法25週 vs 生ワクチン法32 週:差7週) 一方、離乳豚の死亡ロスは生ワクチン使用群が少なかった(母豚1000頭当りの離乳豚ロス:血清法2665頭 vs 生ワクチン法1222頭:2.17倍) さらに暴露前の離乳頭数成績への回復は生ワクチン使用農場群が早かった(血清法21週 vs生ワクチン法 10 週:11週) 詳しくは 健康ページ の「群閉鎖の手順」で。


農場に不法侵入
子豚泥棒もあります。さらに福祉の過激活動家が何をするかわからないのです。2019年5月13日、オランダのある農場に、動物福祉活動家200人が不法侵入して、以下の写真を撮影し、SNSにアップしました。彼らは注目を集めたいのです。PigProgressの記事から。 過激活動家への対策として生産側ができることは、消費者からの信頼を得ること、そのためには、どのように飼育しているかという生産の透明化が有効です。とくに生産者 側からの生産情報のSNSへの投稿を薦めています。「養豚のライセンス License to produce」by Mr. Vincent ter Beek 詳しくは、 SDGs ページを。 出典:https://www.pigprogress.net/app/uploads/2023/06/23-05-31-Thessaloniki-ESPHM-2023.pdf
経営


65歳社長決断でバッチ分娩
米国Claassenファミリー農場は、母豚750頭で養豚一貫経営と畑作で経営していました。週に50分娩させ、週に1.5回出荷していました。米国農場のなかでは、小規模で施設も30年以上経ち古くなり、成績もよくない。廃業を考えていました。しかし後継者が就農の意思が強いことで、65歳の社長は獣医師にアドバイスを求めました。担当獣医師からの養豚を継続するための推薦は、 若雌豚育成ユニット(GDU)付の母豚1200頭に増頭すること 群健康のためバッチ分娩に移行する 5つのグループで4週毎の離乳、1回の離乳で2500頭を離乳し、ウイーン・トウ・フィニッシャ離乳肥育一貫農場へ移動 離乳・肥育一貫サイト(1サイト当り999エーカー=4000 m2)で6つのフローでオールインオールアウト生産 創業者で父65歳の決断がすごい。詳しくは 健康ページ で。2023年2月2日の米国のProfitability (利益) 養豚会議での発表です。出典はYoutubeのhttps://www.youtube.com/watch?v=pgF9hY1CbiEで。


見過ごしているルール違反
農場でのルール違反によるエラーは4タイプです。金言「私たちは日常的なルール違反を容認しています…事件が起こるまでは」 常習化違反:ルール違反が日常業務の一部となっている。例えば、シャワーが2つしかない農場では、スタッフは時間を節約するために、シャワーを浴びるのをやめる。...


生産コスト世界最強は
オランダInterPigから2023年の比較データが発表されました。1ユーロ=170円で計算しています。国際比較を始めた10年前には、1ユーロ=120円でした。 ブラジルが圧倒的に強い。ここ数年で急速に生産量が増えています。養豚ブームが起こっているようです。中国への輸出も...
栄養・繁殖


分娩舎ビデオツアー
英国の分娩舎です。母豚が自由に動けるフリー分娩クレートでの実際の管理がYoutubeで公開されています。わずか6分です。英語の説明はありますが、見るだけでも十分参考になります。英語字幕も可能です。 日本との違いは、分娩前後に新聞裁断紙を藁の代わりに使用していること、分娩柵(可動式)を開けたり、閉めたりできることです。 分割授乳や子豚への初乳のチューブ給与も見れます。英国農業振興委員会(AHDB)作成-ベスト実践法のビデオです。 https://www.youtube.com/watch?v=cBE9cWdePoM 詳しくは、 施設と設備ページで 。


若雌豚の発情の遅れ
若雌豚の発情の遅れは、性成熟の遅れといいます。性成熟とは若雌候補豚の初めての発情が来た日を言います。普通の若雌豚だと約160日に起こります。 240日齢までに発情が来ない場合は、もう自然には発情はこないと言われています。性成熟の遅れは連続したバッチで起こることがあるので、早い対応が必要です。 リスク因子:寒すぎる環境、乏しい光、過密な飼育による攻撃行動、成長を遅らすような低栄養、四肢問題。若雌候補豚の初期育成時では、ペン当り6頭未満の少ない頭数での育成、光による明るさが少ない、発情発見技術の未熟さがあります。さらに若い雄豚と一緒の飼養、雄豚の臭いが少ない古い雄豚への早すぎる暴露。 予防と治療 5から6か月齢まで6頭から30頭のサイズで、雄豚から離して、1日12-16時間の照明、20℃の室温で、制限給餌せず育成すること(太りやすい種豚では軽い制限が必要)。160から210日に到達した若雌豚は、パイプカット雄豚による暴露が必要。 治療の例としては、雄豚から離しておいて、ホルモン剤(PG600)を注射し、その後に1日15-20分の雄豚暴露を行い


淘汰か再種付けすべきか?
「母豚の淘汰までの日数」は非生産日数NPDであり、NPDが伸びると母豚の生産性が低下します。欧州だと NPD1日当り約600円(4ユーロ、1ユーロ=150円)の逸失利益(または機会利益)と言われています。 農場での種付け後の淘汰までの日数は産次0-5だと65日、産次6以上...
施設・種豚


肥育舎建設費米国デンマーク
米国では1頭分スペース当り400ドル(60,000円, 1ドル150円)、2500頭分で100万ドル(150,000万円)です。5、6年前は86万ドルだったのですが。なおデンマークでは現在600ドル(90,000円)です。日本と比較すると劇安ですね。 さらにデンマークの食肉会社デンマーク・クラウン社は新豚舎建設応援金をだしています。新しい豚舎を建設すると、5年間の契約で1頭スペースあたり150ドルのインセンティブをだすそうです。業界の発展には、養豚インフラを刷新するための革新的なアイデアが必要です。 施設ページ と経営ページの 契約生産例タブ も参考に Jim Longニュース2025・10・27から


英国そしてドイツの凋落
英国は1999年からの早すぎた福祉政策で生産量が50%近く減少してしまいました。 2025年現在で、国内豚肉需要を満たすために40~45%を生産する能力しかありません。英国への輸出国はスペイン、デンマーク、オランダです。とくにスペイン産が伸びています。...


発情確認での安全策
農畜産業は怪我のリスクの高い職種です。農場スタッフへの安全策は大切です。重要場面のうち「発情確認と種付けでの安全策」例としては、以下です。 曲がったゲートやストールの棒を修理または交換しましょう 雄豚を安全に保定してリードするようにしましょう...
健康


PRRSと群閉鎖
豚繁殖・呼吸障害症候群です。母豚は分娩率低下、流産と早産多発、死産子豚の増加、哺乳中死亡率増加。離乳子豚には呼吸器症状と発育遅延、混合感染で重篤になる。養豚界で最も経済的に被害が大きい病気です。特別な治療法はないので、米国では、発熱している豚には非ステロイド性抗炎症を主に投与。 米国でも欧州でもControlまたは撲滅に群閉鎖法(Herd Closure)がよく使用されています。 第一ステップは、母豚農場から始めるのです。目的は離乳豚バッチがPRRS陰性で連続して生産できるようになること。 農場での群免疫法の手順は: A)閉鎖期間に必要な更新用若雌豚を母豚農場内に抱える B)ワクチン接種または意図的な農場の全部の豚へのウイルス感染 C)6-10か月間の群閉鎖 D)検査し全母豚が陽性であることを確認 E)子豚のウイルス検査 F)上記が陰性になったら離乳時に検査 G)60日または90日陰性が続いた時点で閉鎖終了 H)陰性の更新若雌豚の導入可能 詳しくは 健康ページ と ウイルスのタブ で。写真はミネソタ大学図書館。


APP胸膜肺炎は困る
APPはアクチノバチルス胸膜肺炎といいます。APPは突然発生し、主に6週から20週齢の肥育豚で、呼吸器症状を発症、伝染が早い。急性から慢性あり。急性例では呼吸困難で、鼻腔から泡状の出血し死亡。急性では死亡率20-80%。急性が発症している農場では、まず抗生剤の注射、飼料添加または飲水添加を。 根絶には1)全淘汰とAPP陰性種豚再導入(depopulation-repopulation)、新豚舎建設時または増設時が実施のチャンス、 2)母豚へワクチン接種と抗生剤使用で早期離乳し、離乳豚は別飼育しつつ、感染母豚の淘汰して、APP陰性種豚を再導入する方法がある。根絶の 詳しくは 健康ページ とその 細菌タブ を。 Control: APP常在農場では、抗生剤・衛生管理・ワクチン接種の3つの対策が必要。発症している農場では、抗生剤の注射だけでなく、飼料添加(連続または間ケツ法)または飲水添加を2-3週間すると死亡率減少。しかし抗生剤では感染を完全に排除できない。根絶を。 衛生管理では、オールイン・オールアウトと日齢別飼育と空白期間でのそうじ・水洗・消


連鎖球菌症
繁殖農場では連鎖球菌症の発生は、大きな問題です。離乳豚の死亡が増加することと、抗生剤の使用が大幅に増えるからです(欧州例:離乳豚で使用される3割がこの病気)。そして完全排除が難しい細菌です。また米国でも豚の連鎖球菌の農場での大発生がたびたび報告されています。 豚の連鎖球菌症は人畜共通の感染症です。日本のメディアでは人食いバクテリアとして取り上げられています。しかし人の連鎖球菌は豚のものとはタイプが違います。 症状:主に哺乳中子豚と離乳子豚、41℃以上の高熱、敗血症、突然死、神経症状や遊泳運動、関節膨大から四肢障害、呼吸器症状も。菌は皮膚に定着するので、へそ、皮膚の外傷、膝の外傷、尾きり、耳刻、歯きりでも起こります。 治療法、発生した場合は早く抗生剤(ペニシリン・アンピシリンなど)を。しかしテトラサイクリン類には抵抗性がでやすい。 コントロール:特別に効果的な方法ない。オールイン・オールアウト生産で、年齢別グループで飼育、空白期間でのそうじ・水洗・消毒・完全乾燥を。 詳しくは健康ページの 細菌タブ で。写真は ミネソタ大学図書館 から。写真は神経
福祉・食安全・SDGs・幸せ


農場に2種の作業エラー
農場では、作業や手順エラー(間違い、失敗, error)がよく発生します。エラー発生から農場の慣習や企業文化の問題を分析、改良するエラー管理が重要視されています。 農場作業や手順でのエラーは2種類あり、1)単純エラーだったのか、2)ルール違反によるエラーだったのか?...


妊娠豚はスノコ床を歩くのが嫌い
Leman2024学会でCountry View Family Farms (CVFF)のC. Roudergue獣医師の発表から。同社はコンピュータ制御給餌システム(ESF)を導入して20年の経験があります。 ESFだと四肢障害による安楽死が増えます。ESFではスノコ床...


超軽体重豚と安楽死
安楽死させるべきなのは、飼い続けることが、豚にとって苦しみや痛みが多く、飼育を継続することが非人道的である時です。 すべての農場マネージャーが遭遇する困難さの一つは、その家畜を治療するか安楽死させるかを決定することです。...
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