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細菌とマイコプラズマおよびスピロヘータによる病気

細菌による病気

SECTION I: 細菌とマイコプラズマおよびスピロヘータによる病気

 下線部分をクリックすると家畜疾病図鑑か米国アイオワ州立大学のHPで詳細がでます。アイオワ州立大学のHPにあるものは(米国ア)と表示しました。米国養豚獣医師会のものは会員でないと閲覧できないので、割愛しました。

表記順は英名:和名;発病しやすい豚;特徴的症状;届出伝染病(届出)か法定伝染病(法定)か人畜共通伝染病(人畜共通)であれば表記しました。

Actinobacillus pleuropneumoniaeアクチノバチルス胸膜肺炎(胸膜肺炎:APP;米国ア);突然発生する、主に6週から20週齢の離乳子豚と肥育豚で、呼吸器症状を発症、伝染が早い、急性から慢性がある。急性例では呼吸困難で、鼻腔から泡状の出血し死亡。急性では死亡率20-80%。慢性では肥育豚の増体量が低下、妊娠豚では流産も起こる。

 Control: APP常在農場では、抗生剤・衛生管理・ワクチン接種の3つの対策が必要。発症している農場では、まず抗生剤の注射だけでなく、飼料添加(連続または間ケツ法)または飲水添加を2-3週間すると死亡率は減少。しかし抗生剤では感染を完全に排除できない。

 衛生管理では、オールイン・オールアウトと日齢別飼育と空白期間でのそうじ・水洗・消毒・乾燥の徹底、その他として飼育密度を下げる、換気改善、他の病気をなくすなどの管理が必要。

 各種ワクチンあり、自農場にあるタイプのワクチンを選択する必要あり。母豚へのワクチン接種は、生まれる子豚への菌の定着を遅らせる。しかし母豚と子豚への定期的継続的な接種は疑問。母豚から子豚への移行抗体が7週齢まで残っている場合がある。なおワクチン接種では、菌の根絶はできない。

 種豚導入では、APP陰性農場へ導入する場合は、導入種豚は陰性農場から導入し、30日以上の隔離期間で、始めと終わりに血液検査が必要。APP陽性農場へ導入する場合は、導入豚にワクチンを複数回接種し、農場にいる豚とよくミックスする馴致が必要。

米国では、経済的打撃が大きくかつ治療費の費用便益から根絶も考慮される。根絶には1)全淘汰とAPP陰性種豚再導入(depopulation-repopulation)か、2)母豚へワクチン接種と抗生剤使用で早期離乳し、離乳豚は別飼育しつつ、感染母豚の淘汰とAPP陰性種豚を再導入する方法がある。;豚のみ。(米国ア)

Actinobacillus suisアクチノバチルス・スイス感染病(米国ア); 主に哺乳豚と離乳豚で急性の肺炎発生、突然死。敗血症を起こす全身性疾患の病気。主に離乳豚ではしょう膜炎、肥育豚では呼吸器症状、成豚では敗血症を起こす。初発生では哺乳豚や離乳豚の敗血症による突然死、チアノーゼ、関節炎、腸炎、時に神経症状を起こす。同腹では死亡率は50%くらいまで起こる。妊娠豚は流産も起こす。

 Control: 米国では自家ワクチンがよく使用。市販ワクチンもあり。抗生剤がよく効く。発症した豚には早急に注射すべき。グループでは飲水投与もよい。(米国ア)

 

Anthrax炭疽;全年齢で発生、肛門からの出血、突然死。比較的稀な病気で、突然死を起こす。身体のどの場所に発症したかで、症状も変化し、咽頭炭疽、腸管性炭疽や全身性炭疽となる。酸素に触れると芽胞が形成されるので、疑われる動物は病理解剖すべきでない。農場や屠場が長く汚染されると清浄化が困難になる。芽胞で環境が汚染される。ペニシリンとオキシテトラサイクリンが初期には有効。;法定;人畜共通。

Atrophic rhinitis萎縮性鼻炎(AR);主に離乳子豚と肥育豚、早いと生後1週間で発症、くしゃみ、鼻血、アイパッチ、鼻が曲がる、呼吸器症状がでる。ボルデテーラB.とパスツレラM.の混合感染で症状が悪化し成長が遅延。

 Control: 病気による経済的被害の程度を考慮して、静圧か根絶か決める必要あり。

「静圧」なら3手段あり:1)衛生管理と施設と換気の改善、2)母豚か子豚または両方へのワクチン接種、母豚へのワクチン接種がコスト便益性よし、母豚へは分娩前4週と2週の母豚へのワクチン2回接種、3)分娩前後の母豚と新生豚へ抗生剤の使用そして離乳時前後での子豚への抗生剤の使用で豚への菌の定住を少なくする。なお肥育豚への抗生剤使用の効果は疑問である。

「根絶」なら2つの方法あり:A)全淘汰とAR陰性種豚再導入(depopulation-repopulation)または

 B)群閉鎖法、1) 農場を閉鎖 (herd closure) して若雌種豚導入を一定期間やめる、2) 分娩前に集中して母豚へ抗生剤投与とワクチンの投与、3) 新生豚に抗生剤投与し早期離乳して別の場所で飼育する (薬剤使用の早期離乳法:M-SEW法)、4) さらに鼻腔スワブでパスツレラM.とバクテリンのPCR検査をして陽性母豚は淘汰する(test and removal)。AR静圧の静圧の進展度を見るために、多くの肥育豚からスワブ採取して検査を繰り返すべきである。米国ではこの方法でARを根絶し、オールイン・オールアウトとバッチ離乳生産による日齢別飼育でAR無しが維持できている。;豚が主、稀にイヌ・羊;届出。

Clostridial diarrheaクロストリジウム性下痢(壊死性腸炎米国ア);クロストリジウムdifficile、perfringensタイプA、perfringensタイプCの3種あり。主にタイプCが哺乳豚や離乳豚に感染し、突然死、出血性下痢、壊死性腸炎を起こす。クロストリジウムdifficileとタイプAは死亡率低い。新生豚で下痢なしで4-8時間で死亡することあり、急性型は分娩後から発症し、慢性型では出血性下痢が多い、突然死あり、死亡率高い。

 Control: 集団発生時では、米国では分娩後2時間以内の抗血清投与が推薦されている。タイプCに急性感染した豚は、抗生剤は効果なし、穏やかなタイプでの発症には抗生剤が投与されている。なお予防的に抗生剤使用もされている。

 米国では、母豚から子豚への移行抗体による免疫を与えるのが最も良い予防とされている。タイプAとCでは市販ワクチンあり、自家ワクチンも米国では使用されている。常在している農場では、初産で分娩6週と2週前にワクチン接種し、2産次以降では分娩数週間前に1回のワクチン接種がよく実施されている。重要管理点としての分娩舎の衛生管理と、オールイン・オールアウトと空白期間でのそうじ・水洗・消毒・乾燥が大切。なお分娩前の予防的抗生剤投与は効果が不明。

Colibacillosis大腸菌病 (米国ア);大腸菌 (E. coli)でおこる病気で3つのタイプがある:a)新生豚1-7日齢での下痢、b)離乳子豚3-7週齢での下痢、c)離乳子豚3-7週齢での浮腫病(ED)。下痢は透明から水様性そして黄色、震え、衛生状態が悪いと死亡率高い。浮腫病は離乳後1-2週後に多く、健康な豚が突然死、浮腫病では下痢は少ない。神経症状がでる場合あり。時に肥育豚で敗血症や漿膜炎を、母豚では乳腺炎や尿路感染を起こす。大腸菌は農場に常在していて、管理や環境の変化で発症する。

 Control: 離乳前の子豚のために1)オールイン・オールアウトで、空白期間にそうじ・水洗・消毒・乾燥、2)普段からの衛生管理で菌が増えるのを防ぐ、3)原種豚は過去に大腸菌症発生のない単一農場から導入し、群導入前3-6週間馴致し、農場に常在する病原菌への免疫を獲得させる、4)初産予定豚には分娩前に2-3週間隔で2回ワクチン接種、以降は分娩2-3週間前に一回の接種、5)発生した豚と同腹豚には抗生剤投与、6)分娩舎は隙間風なしで温度管理は、哺乳豚のいる場所は31℃、母豚は21℃以下が目安。

 離乳後には、1)環境ストレスである温度の上下や隙間風を避ける、2)栄養面では離乳直後クリープ飼料給与や制限給餌で回数を増やす(少量を1日に3-6回給餌)、繊維質の給餌、水や飼料に酸味料添加、プロバイオテックの給与など、3)子豚への経口免疫予防剤(乳、血しょうたんぱく、卵粉)や経口ワクチン投与、4)飼料や飲水への抗生剤投与(公衆衛生的によくない)、5)遺伝的抵抗性のある豚を使う(米国)、6)発症したら抗生剤使用(感受性の検査をしておく)、脱水予防の電解質水の給与、まだ発症していない豚への抗生剤投与や酸味剤投与。きめ細かい飼養管理の継続が必須であり、普遍的予防は困難。

 なお大腸菌群 (Coliforms)とは「乳糖を分解して酸とガスを発生させる菌」のことで、土、空気、水など自然の中に広く分布している。大腸菌群の中に大腸菌があり、大腸菌の中に病原性大腸菌があり、病原性大腸菌の中にO-157がある。

 

Erysipelas豚丹毒豚では全年齢に発生するが、主に肥育豚、成豚・種豚で発生。夏に多いと言われている。丹毒は豚だけでなく羊や鶏にも発生する。米国では臨床的に急性・亜急性・慢性と区分けされ、日本では敗血症型・蕁麻疹型・心内膜炎型と関節炎型と区分けされる。急性では高熱(42℃ほど)、急死することもある。関節痛で歩様がおかしい、ピンクから紫色で膨れるダイヤモンド状の皮膚病変、主に2-8週齢豚で耳・鼻・四肢に青紫色チアノーゼがでる。亜急性は急性ほど症状がひどくない。皮膚病変は合体して大きくなる、皮膚壊死がでることもある。慢性型は急死または亜急性から変化し、関節炎や心内膜炎を起こす。肥育豚は成長が遅れる。母豚では、急性で経胎盤の感染で流産や死産が起こる。

 Control: ワクチン接種が推薦されている。生ワクチンと不活化ワクチンがあり、生ワクチンだと26週間は有効である。不活化ワクチンは2回接種することで、出荷するまで効果あり。集団発生した場合はペニシリン注射とさらに血清注射、同時に抗生剤の飲水投与をすることが有効。発生した時での他の豚へのワクチン接種は今後の発生減少に効果あり;届出;人畜共通、人では傷口から感染し発疹する

Greasy pig diseaseスス病 (米国ア); 連鎖球菌による表皮炎、散発し拡散する。主に新生豚から約8週齢までの子豚で発症しやすい、幼豚は3-5日で死亡。

 Control: 継続的に効果のある治療法はない。抗生剤は初期以外あまり効かない。消毒薬クロルヘキシジンやVirkon等での洗浄は少し効果あり。発症した豚はすぐ隔離し拡散を避ける、集団発生し重症な場合は安楽死も考慮。予防として分娩舎へ移動する妊娠豚の洗浄、分娩舎の衛生環境向上、分娩舎のオールイン・オールアウトをし、空白期間で分娩舎のそうじ・水洗・乾燥の徹底、高湿気や高飼育密度を避ける。(米国ア)

Haemophilus parasuis or Glasser' diseaseヘモフィルス性肺炎(グレーサー病;米国ア;主に3週齢から4か月齢の豚で離乳やグループ編成などストレスで発症。母豚からの移行抗体が切れた時期に発症しやすい。健康な豚が急死、死亡率高い、震え、運動失調、後肢マヒ、横臥し、時に関節炎・四肢障害を起こす場合あり。呼吸器症状を起こすタイプあり。

 Control: 治療しなければ死亡するので早急な治療が必要。多くの抗生剤に対する感受性は高いが、農場での違いがあるので、抗生剤への感受性テストが推奨。予防には衛生管理の改善と他の病気の静圧(例、PRRS)が必要。なお本菌は生後約10日齢で豚に定着するので、早期離乳法では完全排除できない。導入種豚の馴致とワクチンによる群免疫の獲得が大切。さらにストレスになるイベント(離乳による豚のミックスと離乳舎の環境変化)を最小限にする。なおワクチンはあるが、すべてのタイプへの効果には限界あり。

 

Ileitis増殖性腸炎 (PPE, PIA, PHE;米国ア);他の病気がないハイヘルスな農場で多く発症。主に8-20週齢の肥育豚や若雌候補豚。3種:1)急性、2)慢性、3)無症状あり。1)急性は出血性下痢(タール状の黒っぽい便)と貧血と急死、主に20週齢以上。2)慢性は6から20週齢で連続して下痢(灰色便)、成長が遅れる。3)無症状では肥育成績が低下、豚の状態は見た目ではわからず、肥育成績記録の低下で気が付く。

 Control: 集団発生時では死亡を防ぐために抗生剤要、発症豚には注射、残りには飼料添加か飲水投与。間欠的な抗生剤投与(Pulse dose)がよく使用。肥育豚へのワクチン接種と、馴致期間中の若雌種豚へのワクチン接種は、発症豚を減らしたりなくすことに有効。米国では歴史的に飼料添加薬剤の使用はこの病気を静圧するためであった。いくつかの米国農場ではワクチン接種で、連続的な飼料添加薬剤をやめることができた。

Leptospirosisレプトスピラ病(米国ア)急性では子豚では発熱し成長が遅れる。成豚、非妊娠豚、肥育豚では気づかれない。慢性では、妊娠豚で流産や死産、再発し分娩率の低下、分娩子豚の虚弱もある。ネズミ類や野生動物から持ちこまれる。多くの属やタイプ (serovar)あり。

 Control: タイプに合わせたワクチン接種で拡散と流産の予防、年に2-3回の接種が免疫レベルの維持に必要。抗生剤(オキシテトラサイクリン、タイロシン、エリスロマイシン)で治療と静圧。しかし抗生剤だけでは根絶はできない。以下で静圧もしくは根絶できる:豚舎での飼育+抗生剤の使用+ワクチン接種+ネズミ駆除と野生動物排除+汚染されていない水給与。;届出;人畜共通。

 

Mycoplasma suis豚マイコプラズマ・スイス病(米国ア)主に離乳豚と肥育豚で発症、元気がなく、貧血、成長が遅れ、重症だと黄疸も。死亡あり。母豚では泌乳障害を含む繁殖障害に関連。国によって有病率が大きく違う。

 Control: 治療として、抗生剤テトラサイクリン使用、ただし1回でなく繰り返し使用。市販ワクチンは無い。種豚導入時に血清テストするとよい。

 

Mycoplasmal arthritisマイコプラズマ性関節炎(米国ア); 主に肥育豚で関節炎。MHRとMHSの2種類あり、MHSは3-10週齢に発症が多く、MHRは3-5ヵ月齢に発症が多い。関節膨張、四肢障害で横臥姿勢多し、成長遅れる。

 Control: 系統株(strain)の種類が多い。米国では自家ワクチン使用。早期発見が大切、関節炎の集団発生時の治療には早急な抗生剤注射。

Mycoplasmal pneumoniaマイコプラズマ性肺炎EP, MHP;米国ア);全年齢で発症、呼吸器症状、乾性のセキ、肥育成績とくに飼料効率が低下、罹患率高いが死亡率は低い。2-3週齢で起こり始め農場に広がり、主に3-6ヵ月齢で発症。他の病原体との混合感染により重篤化。豚呼吸器病症候群(PRDC)の中心的役割。成長が遅れ飼料要求率が悪化するので経営的に大きな問題。なお静圧や根絶法はあるが、PRRSまたはインフルエンザが常在している農場では、さらに経営的な大きな問題となる。

 Control: 抗生剤で静圧する方法は、中長期的には費用対効果がよくない。ワクチンは死亡を減らし肥育性成績低下への効果あり、しかしワクチン接種だけは本病気が入ってくることと、感染伝搬を防げない。根絶には A) 全淘汰とマイコプラズマ陰性豚再導入(depopulation-repopulation)、B) 早期離乳・子豚別飼育法(SEW)、C) 6-7ヵ月群閉鎖法、D)スイス方式などがある。しかし、この病気の陰性状態の維持は困難。なおスイス方式では根絶に成功。D)スイス方式は1)農場のすべての繁殖豚にワクチンを接種、2)そのあと10か月齢未満のすべての母豚は分娩離乳後淘汰、3)集中した抗生剤投与期間中の最低3週間は分娩なしとする、4)ワクチン接種や抗生剤投与した母豚の淘汰して、2年間は陰性を保持または農場によっては根絶もできている。これの改良版を何年かに一度繰り返す。B)の早期離乳・子豚別飼育法(SEW)はオールインン・オールアウトによる年齢群別飼育を組み合わせることで静圧できる。根絶はできない。(基礎セクションも参照)。

Pneumonic pasteurellosisパスツレラ性肺炎(米国ア) Pasteurella multocida離乳子豚と肥育豚、呼吸器症状であるセキ、呼吸困難。他の呼吸器病(マイコプラズマ性肺炎やアクチノバチルス肺炎やウイルス性肺炎)発症から2次的に発症しやすい。

 Control: 重症なものは早急な抗生剤注射での治療要。初期集団発生では、集団投薬も必要。種豚導入時の2-3週間以上の隔離観察。オールイン・オールアウトし、年齢グループ別の飼育にし、グループ新編成を少なく、換気に注意し、他の呼吸器病を抑える。(米国ア)

 

Salmonellosisサルモネラ症;主に離乳子豚から肥育豚5ヵ月齢、母豚と雄豚でも発症、;発熱、下痢(水溶性から黄色)、四肢障害も、死亡率は中程度だが成長が遅れる。時に四肢に紫斑も。

 Control: 発症した豚には抗生剤投与、病豚を隔離する。発症では、アミノグリコシド系抗生剤の飲水での集団投薬も効果あり。米国では歴史的に飼料添加薬剤が使用されてきたが、抵抗性のある菌が出現するので推薦されていない。2種の血清タイプ用のワクチンあり。

 種豚導入はサルモネラ陰性の単一農場からで30-60日間の隔離観察、オールイン・オールアウト生産で、年齢別グループで飼育、空白期間でのそうじ・水洗・消毒・乾燥。ネズミ類駆除、ペットや鳥類や野生動物との豚との接触がないように。欧米では農場での感染を減らすために、種豚での血清テストで感染を見つけている。豚肉はサルモネラ性食中毒の直接原因でないが、産業界としては注意すべき。;届出;人畜共通。

Streptococcus suis連鎖球菌病 (米国ア);主に哺乳中子豚と離乳子豚、41℃以上の高熱、敗血症、突然死、神経症状や遊泳運動、関節膨大から四肢障害、呼吸器症状も起こる時あり。菌は皮膚に定着するので、へそ、皮膚の外傷、膝の外傷、尾きり、耳刻、歯きりでも起こりうる。

 Control: 特別に効果的な方法がない。厳しいストレス(飼育密度、換気、高湿度)を減らすことと環境衛生度を上げる。オールイン・オールアウト生産で、年齢別グループで飼育、空白期間でのそうじ・水洗・消毒・乾燥。発症した豚には早急に抗生剤投与​(一般的にはペニシリンやアンピシリン​、ミネソタ大図書館Open-bookでは推奨)。罹患率が高いグループには飼料添加や飲水投与での間欠的薬剤投与も。いくつかの抗生剤(とくにテトラサイクリン類)には抵抗性がでやすいので、薬剤の感受性テスト必要。ワクチンあり。分娩前のワクチン接種は哺乳中豚には有効だが、離乳豚には有効性低い。他の呼吸器病(PRRS、インフルエンザ、オーエスキー病、マイコプラズマ性肺炎など)を抑える;人畜共通で農場で働く人にも時に発生、中国では死亡例も報告されている。ミネソタ大学のOpen-bookで動画付き(神経症状)でも紹介されています。

 

Swine brucellosisブルセラ病;豚や牛などの偶蹄類、母豚と雄豚で発症、流産、交配後30-45日の再発情多発、妊娠末期豚では死産豚や虚弱豚、肥育豚では四肢障害、雄豚の精巣の炎症。日本では根絶された;法定;人畜共通。

 

Swine dysentery and spirochetal colitis豚赤痢;主に6週齢過ぎの肥育豚、下痢(灰色から黄色で粘血)と出血便も、治療なしだと罹患率50%以上で死亡率は50%。米国では、オーガニックや放牧豚などの農場で増えている。放牧豚の多い英国でも増加。

 Control: 抗生剤の飼料添加または飲水投与、衛生度を上げること、抗生剤による静圧は効果あり、しかし経営的に高価な方法になり、さらに抗生剤への抵抗性はよく起こる。種豚導入は、豚赤痢陰性の農場から導入し、30-60日の隔離観察が推薦されている。

米国での根絶法は3つ。A)薬剤使用での早期離乳・別場所での子豚飼育し(いわゆるM-SEW、健康ページ参照)、感染母豚を淘汰し、別の場所で交配された陰性種豚導入、B)繁殖専門農場にのみ応用できるが、種豚頭数を減らしたのち、有効である抗生剤の集中投与、C)全淘汰と種豚再導入(depopulation-repopulation)。どの方法でもネズミ類の駆除が必須。; 届出。

Tuberculosis抗酸菌症(米国では結核に含まれる;米国ア)肥育豚で発見、症状なしで、屠場で病変が発見;人畜共通。米国では屠場でのこの病気による廃棄割合は年0.003%と推定されている。

 Control: 結核症の牛からの乳の利用はリスク。野生鳥と家畜鶏との接触がないように。

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